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第171回国会(常会) 参議院経済産業委員会 2009年6月02日

○中谷智司 

 皆さん、こんにちは。民主党の中谷智司です。

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について御質問をさせていただきます。

 内閣府が発表した日本のGDP成長率は、二〇〇八年十月から十二月期が年率換算マイナス一四・四%、二〇〇九年一月から三月期が年率換算マイナス一五・二%と、戦後最大の大きな落ち込みが二四半期続いています。

 午前中にもお話がありましたように、アメリカ・ゼネラル・モーターズが破産法を申請しました。このように経済が大変厳しい状況の中で、日本企業、とりわけ中小企業はもがき苦しんでいます。本法律案が日本企業、中小企業の皆様方の思いを酌み取るようなものになり、公正な取引が行われ、日本経済の健全な発展につながることを期待して、質問をさせていただきます。

 午前中の質疑の中で、少し竹島委員長の御発言で気になった点がありますので、その点について、まず最初に御質問をさせていただきたいと思います。

 良いものを安くが原則というふうに竹島委員長はおっしゃられましたけれども、良いものを適正価格でという表現が正しいのではないでしょうか。

○竹島一彦公正取引委員会委員長

 適正価格とは何ぞやということになるわけで、結論的にはより良いものがより安くというのが私は正しい表現だと思います。適正というと、これはその方によっては一定の利潤をちゃんと保証したようなものでなきゃならないとか、いろんな意味で適正についての物差しがございますので、そうなってくると、いろいろ、言葉は分かるんですけれども、具体的なイメージが出てこないと、やっぱり同じ質ならより安いものがいいし、同じ値段だったらより質の高いものがいいと、こういうことだと思います。

○中谷智司 

 今のお話に関しては分かりましたけれども、ただ、より安くとなるとどこまで安くてもいいのかというふうに取られるような方もいらっしゃいますので、是非ともそういうふうなお話をされるときにはきちんとお話を、説明を付けてしていただきたいと、そういうふうに思います。

 それでは、本題に入らせていただきます。

 審判制度について御質問をさせていただきたいと思います。

 審判制度は、二〇〇五年の改正によって事前審査型審判から不服審査型審判に変更されました。変更前後における審判申請件数と、高等裁判所への訴訟件数の推移はどのようになっていますか。

○竹島一彦公正取引委員会委員長

 審判手続の開始件数の推移でございますが、平成十六年度二十七件、平成十七年度十九件、平成十八年度十六件、平成十九年度十九件、平成二十年度が十一件となっております。

 また、審決取消訴訟の提起件数の推移は、平成十六年度が二件、平成十七年度が一件、平成十八年度が四件、平成十九年度が七件、平成二十年度が八件となっております。

○中谷智司 

 それでは、それらの結果も踏まえて、不服審査型審判に対してどのような評価をされていますか。

○竹島一彦公正取引委員会委員長

 そもそも平成十七年度の法律改正で、それまでの事前審査型審判制度を不服審査型審判制度に、事前を事後に変えさせていただいた大きな理由、それは、事前の時代は公正取引委員会の勧告に従わない場合は、これは一回棚上げになるわけで、課徴金の納付命令も言わば効力をその間失うわけでございます。

 そういう手続だったものですから、例えば談合の場合に、談合をやめなさいと言っても、これに対して分かりましたとは言わないわけです。それで、審判に持ち込む。それで、その間は課徴金は払わなくてもいい、最終的に負けても利息を払うこともない、そういうことだったものですから、要するに時間稼ぎ、悪く言うとごね得、こういうことが起きていました。

 そういう状態であれば、発注機関から指名停止も受けない。業者にとっては指名停止を受けるというのは非常に大きなことでございますので、工事が出てくるときに、指名停止をもらいますと、当然取れないわけでございますから大変痛手が大きい。そういうことをかいくぐるために、取りあえず審判制度に持ち込もうということで時間稼ぎをしていたと言わざるを得ない事態がたくさんあったわけでございます。

 したがって、建前はいいんでございますけれども、実際上言わば悪用されていると私は思いまして、勧告も、当時いいかげんな気持ちで勧告しているわけじゃないわけでございまして、きちんと調べて、勧告といえども実質的に命令に等しい、内容をきちっと調べた上でやっているわけでございますから、そうであれば逆にして、まず命令を出すと、課徴金納付命令も同時に出すと、それで、それに不服のある方は審判をやってくださいというふうに変えたわけでございます。

 その結果、何が起きたかというと、先ほど件数は申し上げましたけれども、どのぐらい命令に対して不満で審判制度に持ってくることになったかというのを見てみますと、改正前は約二〇%、特に課徴金の金額をめぐっての争いがありまして、約二〇%が言わば不服があるということで審判制度に持ち込まれたわけでございますが、改正後は何と二%に激減をしておるわけでございます。

 したがって、私どもは、十七年改正で審判制度を変えたわけですが、今の審判制度は非常に有効だと、無駄な争いをしないで済むと、こういうことになっているので効果的だというふうに思っておるんですが、国会ではなかなかその辺は御理解いただけずに、参議院のまだ附帯決議いただいておりませんが、衆議院の附帯決議でも、今のままということはないようにと、昔のままに戻すということもないようにという趣旨の附帯決議が付けられているということでございますので、政府としてはそういう御意見を尊重しなきゃならぬ立場にございますけれども、改正後の審判制度は、今申し上げたようなことで、必要な不服審査をしているという意味では効果的である、又は能率的であるというふうに思っております。

○中谷智司 

 今のお話から、現時点では高い評価をされている、そういうことは理解をできましたけれども、適正手続確保の面で十分とは言えない、あるいは審判手続に求められる中立公正さに欠ける、そういうふうな点も指摘されているのも事実ですので、こういったこともきちんと理解をして、そして運用をしていただきたい、そう思います。

 事前審査型審判や不服審査型審判は、いずれも処分を行う公正取引委員会自らが審判を行うことについて不信感を持たれている、そういうふうな面があります。審査と審判の分離の在り方について竹島委員長はどのようにお考えでしょうか。

○竹島一彦公正取引委員会委員長

 先ほどの御答弁でも申し上げたんですが、この審判制度については、今、中谷委員御指摘のとおり、一人二役ではないかと、欧米にはこういうのはまずないと言っていいと、こういう御批判がありまして、全面的に見直せと、その場合は廃止がしかるべしであるという御意見もございますし、いやいや、それはそうとばかり言えませんと。

 前回の参考人の中のお一人はそのメンバーでいらっしゃったわけですけれども、経済法学者が集まって、改正前の事前審判手続が非常に重要であると、それに戻すべきであるという御議論が学者の中、全員ではございませんが、数十名集まった学者はそういうことを言っておられる。それは、適正手続上、まさに丁寧に、不服審査を丁寧に扱うという意味、それから公正取引委員会の専門性というものを発揮できる、そういうことで、独立行政委員会たる公正取引委員会にとってまさに必要な必須の機能ではないかと、こういう御議論があります。

 それからもう一つは、事柄によって分けたらいいではないかと、振り分け方式と我々言っておりますが、あるものはいきなり裁判所に行く、しかしそうじゃない残りのものは公正取引委員会の審判制度にゆだねるというのが、これが効率的又は弾力的な事件の処理に資するんではないかと、こういう考え方があるわけでございまして、これら大きく三つのタイプの考え方をどうするかということが今我々に迫られていると。

 今回は、残念ながら、そのどれかということについて関係方面の御意見を収れんさせることができませんでした。そこでもう一年お時間をいただきたいということをお願いしているわけでございまして、衆議院の附帯決議で示されているお考えも十分踏まえながら、これから一生懸命、来年の通常国会にその答えが法律の形で御提案申し上げられるように詰めていきたいと思っております。

○中谷智司 

 今お話をしてくださいましたけれども、この審判制度については多くの論点があります。

 竹島委員長は、衆議院経済産業委員会において、「審判については、もう論点はある意味では出ているといえば出ている。あとはどうそれを決断するかということかとも思います。」というふうに答弁をされました。そうした中で、今の御答弁の中では、一年間掛けて考えていく、そういうふうなお話をされましたけれども、実際にここで、この衆議院の経済産業委員会のときに言われた論点とは具体的にどのようなものを指されるんでしょうか。是非とも踏み込んでお話を伺いたいと思います。

○竹島一彦公正取引委員会委員長

 先ほど御答弁した三つが、私の言う論点というか考え方というか、論点というのが表現がどうかという感じもしますが、要するに考え方、審判制度を見直す場合にどういうじゃオプションがあるのかという意味で論点というふうに言わせていただいたんですが、それは先ほど申し上げた三つでございます。

   〔委員長退席、理事増子輝彦君着席〕

 その三つを、それから選択制ということも、それを入れると四つになるのかもしれませんが、その会社が好きな方を選んだらいいじゃないかと、裁判所に行くんなら裁判所、公取なら公取という選択制というようなものがありますけれども、アイデアとしてはもう出尽くしていると私は思っておりますので、それぞれのメリット、デメリットを考えた上で、あとは一本に絞るという作業が残されているという、そういう意味で衆議院では申し上げました。

○中谷智司 

 私たち民主党は、審判制度廃止をする、そういう方向であるということを考えとしてきちんと述べさせていただいております。二〇〇五年改正以降、公正取引委員会では検討に検討を重ねておられるわけですから、このことも十分に考慮に入れて方向性を示していただきたいと思います。

 河村官房長官、お忙しいところ当委員会にお越しいただきましてありがとうございます。河村官房長官に御質問をさせていただきます。

 この制度の変更は、優先順位を付けて今回の改正案、本法律案に盛り込み、速やかに対応することもできたのではないでしょうか。

○河村建夫内閣官房長官

 審判制度の在り方につきましては、今、竹島委員長からも御答弁があったかと思いますが、昨年三月に提出した法案の附則で平成二十年度中に見直すということを踏まえながら、鋭意検討、調整をやってきました。関係各方面、経済団体、法曹関係、学識経験者、消費者団体、様々な意見がございまして、現段階で結論を得ることが難しいと判断をして、一つの方向付けは出たんではないかと、こう言われておりますが、今回、方向付けといいますか、いろいろな判断の一つの基準的なものはあるんではないかということもありましたが、今回提案した改正法案については二十一年度中に検討するということになったわけでございます。

 今、竹島委員長言われた審判制度の見直し、どのような形にしていくか、やっぱりこれは重要な課題でもございますので、更に関係方面の意見を聞いて、少なくともしかし本年度中にはもうこれ結論を出さなきゃいけませんので、精力的に検討をしてまいりたいと、このように考えておるわけであります。

○中谷智司 

 審判制度は、今、河村官房長官がおっしゃられたように本法律案の大きな大きな柱です。そして、私が竹島委員長やあるいは河村官房長官のお話を聞いていると、どうも先送り先送りしているように感じます。是非とも、最後に強い御決意を言っていただきましたけれども、先ほどの御答弁の中で、論点を整理をして意見集約に積極的に取り組んでいただいて、きちんとした案を御提示をいただきたい、そういうふうに思います。

 続きまして、海外の競争当局の動向や対応についてお伺いをいたしたいと思います。

 午前中の審議の中にもありましたけれども、EUやアメリカを中心に世界的に競争法違反に対する取締りが活発化しています。特にカルテルについては取締りの厳格化や厳罰化の傾向が顕著です。本法律案では、課徴金の適用範囲の拡大など、課徴金制度の見直しがされました。私たち民主党は、不公正な取引を課徴金の対象にすべきと訴えてまいりましたので、その点が本法律案に盛り込まれたことは高く評価をします。

 午前中に塚田委員が竹島委員長に御質問をされましたが、河村官房長官がお越しくださいましたので、改めてお伺いをいたしたいと思います。

 EUではカルテルなどについて高額な制裁金が適用されていますが、日本の課徴金は海外と比較してかなり低額です。この点についてお考えをお聞かせください。

○河村建夫内閣官房長官

 競争法違反に対する処分でございます。

 これは、外国では日本の場合と前提となる法制度等にも違いがございます。そんなことで、EU等の制裁金と日本の課徴金だけを単純に比較することは果たして適当であるかどうか、むしろ適当ではないのではないかと考えております。カルテル等に対する課徴金の算定率は、今回提案したものも含め、抑止のために適当な水準にあると考えておるわけでございます。

 特に、我が国の課徴金の中にはカルテル等には刑事罰がある、ヨーロッパの制裁金には刑事罰がない、裁量的な面がEU側にあって日本にはない、いわゆる定率でやっております。このような違いもございますが、少なくとも今回の提示においてさせてもらっているもの、提案しているものは抑止のための適切な水準であると、このように考えておるところでございます。

○中谷智司 

 今、河村官房長官が抑止力になっているというふうにお話をされましたけれども、衆議院やあるいはこの参議院の委員会を通しても、この日本の課徴金の金額がEUあるいはアメリカに比べて低くて抑止力になっていないんじゃないか、そういうふうな疑念を持たれている方々もたくさんいらっしゃいます。本法律案の課徴金の効果をきちんと見極めつつ、課徴金を国際水準並みに更に引き上げる、あるいはこのままでいく、そういうふうなことはきちんと効果を見極めて決めていただきたい、そういうふうに思います。

 海外において日本企業も巨額の制裁金を課されています。EUで売上げがゼロでも、制裁金が四百億円にも上ったという例もあります。中には巨額の制裁金等を求められるのが必ずしも合理的ではないケースもあるのではないでしょうか。

 竹島委員長、このことに対する事実関係を把握されているでしょうか、また、どのように受け止めておられるか、お考えをお聞かせください。

○竹島一彦公正取引委員会委員長

 御指摘のとおりでございまして、特に最近のEC、欧州委員会の競争当局がやっております制裁金の賦課の決定というのは大変厳しいものがある、そういうふうに我々も見ております。

 それで、その事実関係は私どももきちんと入手しております。EUとの間は、日本とEUとの間で独占禁止協力協定というのを結んでおりまして、お互いこういうことをやりましたよという場合には通報するということにもなっていますので、そういうルートもございますし、大きな案件だとすぐマスメディアが報じますので、そういう形でも知っているわけでございます。

 それで、今売上げがないのに日本の企業が、売上げがないというのは、ヨーロッパ市場において売上げがないのに大きな制裁金を課されているではないかと、こういうことがあって、日本はそういうことがないじゃないかと。これはまさに日本の課徴金とEUの制裁金の違いでございまして、向こうは文字どおり制裁金。ですから、法律違反に対してはしかるべき制裁金を賦課すると、こういう考え方でございます。売上げがなくてもEUの競争法に違反しているということが認定されて、それで制裁金を求められているということです。

 これは具体的に何かというと、市場分割カルテルというものをやっておりまして、日本企業はEUの市場では売らない、その代わりEUの企業は日本の市場では売らないと、こういう市場分割カルテルをやっているわけです。そうすると、当然のことながら日本の企業の売上げはEUでは起きないわけでございます。しかしながら、そういう形でもって国際カルテルをやっていると、欧州の市場はそのために競争がゆがめられたと、日本の企業もその一員であると、こういう認定を受けているわけです。したがって、その日本の企業にもしかるべき制裁金を下さなきゃいけないと。そのことがいろいろ計算されまして、幾ら、百億円とか、かなり多額の金額が請求された、こういうことです。

 日本の課徴金は、あくまでも日本国内において売上げがあればそれに対して一〇%とか何%掛けると、こういうスキームになっておりまして、純粋な制裁金ではないわけでございます。純粋という意味は、裁量性を持った、要するに刑罰のような、刑罰と同じような適用をするというものではない。したがって、日本でも同じようにそれは、EUの企業はそういう市場分割カルテルに入っていた場合には、日本は当然EUの企業に対して排除措置命令を出しますが課徴金を掛けられないと、こういうことになっているわけでございまして、その辺は課徴金なり制裁金制度のまさに基本的な違いであることはそのとおりでございます。

○中谷智司 

 竹島委員長が今、日本の法律と海外の法律が違うというお話をされました。もちろんこの法律の内容は、日本とEUあるいはアメリカ、それぞれの国によって違います。日本企業が海外に進出する際に、海外の法律を十分認識しておらず制裁金を課されるなど、厳しい措置を下される可能性があるんじゃないか、私はそう思っています。

 海外の法律に対する企業対応の在り方、公正取引委員会の日本企業への情報提供などについてどのような御見解をお持ちでしょうか。

○竹島一彦公正取引委員会委員長

 私どもも公正取引委員会のホームページで、海外ではこういう競争法になっていますよと、具体的には最近こんな事件がありましたよということはホームページに載せてあるわけです。それから、中小企業は分からない、知らないということもあるかもしれませんが、欧米と取引するような企業は大体皆さんもう既に分かっていて、向こうは大変厳しいんだということは分かっていて、したがって契約とかする場合も必ず弁護士を立ち会わせるとかいうことで注意深くやっているのが普通だと思います。

 したがって、私どももそれなりの情報提供はしますけれども、日本の企業は、当然のことながら、海外に出ていった場合には海外の法律がどうなっているのかということも調べた上で、どういうことをやれば摘発されるのかということも調べた上でなさるのがまず基本的には求められるわけでございまして、私どもはそれのお手伝いになる程度の情報かもしれませんけれども、先ほど申し上げたようにホームページ等でそういうことは説明していますし、それから講演会とかそういう場では、お気を付けなさい、こうなっているんですよと、日本では売上げがなければ課徴金を払わなくてもいいんだけれども、向こう側はそうじゃありませんよというようなことも私自身触れております。

○中谷智司 

 今、竹島委員長は、海外に進出をされるような企業は当然こういうふうな事例に関しては知っているというふうにお話をされましたけれども、私はちょっと違うんじゃないかなと思っています。すべて海外に進出するような大企業がこういう情報を知っているとは限らないと思います。まさか自社が競争法違反を犯すはずがないと考えて、危機感を持っていない日本企業も多数存在するんじゃないかと思いますし、海外競争当局から競争法違反で摘発を受けて初めて制裁の重さや会社経営への影響の重大さに驚くことも少なくないと思います。

 中小企業のお話を先ほどされましたけれども、私は、地元徳島で中小企業の方とお話をする際に、この独占禁止法のお話をさせていただいたことがあります。私は、すべての方が御存じじゃないにしても、かなり多数の方が御存じなんだろうなと、こういうふうな、それこそ津田委員が経済の憲法とおっしゃられていたような大切な法律ですから、知っているだろうと思っていましたけれども、私がとある集会で集まった中で聞いた中では、名前さえも知らなかったり、名前を知っていてもその内容については知らない、そういう方がほとんどでした。

 ですから、そこの認識は是非とも改めていただいて、とりわけ大切な事項に関しては、あるいは大切な大きな事件に関しては、それに関連するような企業には公正取引委員会の方から知らせていく、そういうふうな取組を是非ともしていただきたいと思います。

 それでは、海外の事例とは変えて日本の事例を伺いたいんですけれども、公正取引委員会が外国企業に課徴金を課した事例について、件数や金額の推移はどのようになっていますか。

○竹島一彦公正取引委員会委員長

 外国企業に課徴金を課した事例でございますが、これは今までありません。課徴金を課した事例はありません。これは、そのときの外国企業というのは、まさに日本で活動していない外国の企業という意味ですが。

 ただ、我が国に拠点を有する外国企業に課した例はあります。これは、平成十年に日本機械保険連盟という機械保険の集まりがありまして、これが独禁法違反をやっていたということで課徴金。そのときは、AIU、これアメリカ法人、チューリッヒ・インシュアランス・カンパニー、スイス法人、これが日本国内でやっていたということで課徴金を掛けたことがありますが。

 それ以外、最近の例では、国際カルテルで平成二十年二月、マリンホースという油とか何かを船から陸に引っ張るそのホースの国際カルテル事件がございまして、このときは、日本企業二社のほかにイギリス、フランス、イタリア、アメリカ、合計八社が日本の独占禁止法違反だということで、排除措置命令を出しました。

   〔理事増子輝彦君退席、委員長着席〕

 しかしながら、日本の場合は過去三年間までしかさかのぼれないものですから、その期間中は先ほど申し上げた日本での売上げが今申し上げた外国の企業はなかったものですから、課徴金の納付命令は出せませんでした。

 いずれにしましても、これから、外国の企業に遠慮しているわけじゃなくて、外国の企業が日本において売上げがあれば当然掛けます。そういう事例はこれからあり得るわけなんで、それについては内外まさに無差別で課徴金を掛けていくということでございます。

○中谷智司 

 先ほどの制裁金や課徴金の話にもつながると思うんですけれども、今、竹島委員長がお話をされたように、日本において措置を行った事例が少ないことからも、日本の法律や体制が海外に比較をして甘いんじゃないか、そういうふうなことも想像ができると思います。是非とも、国際水準並みに法律やあるいは体制を厳しくすることも御検討をいただきたいと思います。

 海外競争当局との連携、情報交換、さらには国益を守るための折衝などが重要だと思います。海外競争当局との情報交換に関する規定が整備されることとなりますが、これまで情報交換はどのように行われてきましたか。また、今後海外競争当局とどのような情報を交換し、どのような事案に対処できると想定していますか。

○竹島一彦公正取引委員会委員長

 これまでも日本は、アメリカ、EU、そしてカナダ、この三つと独占禁止協力協定というのを結んでおりまして、お互いに執行面の協力をしますということになっております。

 そういう中で、具体的な証拠とか供述調書を交換するということは、これはお互いそれぞれの国の守秘義務が掛かっておりますからできませんけれども、簡単な話としては、国際カルテルであれば、いつ立入調査をやるぞと、こういうことにつきましては、過去にもアメリカ、カナダ、EUと、若干時差の問題はありますが、ある日を期して立入りをやろうと。それでないと、ばらばらになっちゃいますと、ほかのところが証拠隠滅に走るということもあり得ますので、そういった調整。

 それからもう一つ、内容にわたってもう協議が可能なのは、国際的な企業結合案件。国際的な企業結合案件について、どういう範囲でその企業結合をとらまえるべきかと。これを我々市場の確定と言うんですけれども、どういうマーケットがこの合併なり企業結合によって影響を受けるのかと。これ、広く取れば問題ないということになりますし、狭く取れば問題があるんだということになります。その辺の土俵の決め方についてお互い意見を言い合うとか、それから問題がさてあるとして、じゃどういう問題解消措置があるのかというようなことについていろいろアイデアを交換するということは、現に今までもやってきたわけです。

 これからますますそういうことが多くなるだろうということが考えられますので、従来はしかるべくやってきたというのが実態でございますが、基本的には守秘義務が掛かっているものを外国といろいろやるわけですから、やはりしかるべくやってくるというだけじゃなくて、法律にちゃんと根拠を持って、それでやる方があるべき姿だろうと思いまして、運用面が基本的に変わるわけじゃございませんが、法律の裏付けをこの際いただきたいと、こういう意味で規定を整備させていただくと。それは、お互い相互主義、こちらがやれば向こうも同じことをやってくれるとか、それから目的外には使用しないとか、これは刑事事件とは違いますよとか、そういったことがお互いに確認できる相手と情報交換をすると、こういった考え方が今度の改正法案に盛り込まれているわけですが、そういうことで、きちんとした基盤の上で情報交換をやりたい、そういうふうに思っております。

 それからもう一点、先ほどお触れになって、日本は何か緩いんではないかと、欧米に比べてと。それは確かに、国際カルテル、典型的に国際カルテルについてそうなんです。その大きな理由は、課徴金減免制度というものが日本になかったから。これは、EUは何かすごい探査能力があって、何か悪いことしているのをすぐ捕まえられるような能力が高いというふうにお考えになられるとこれは非常に我々としては困るんで、そうじゃないんで、ああいう大きな事件は、アメリカもそうですしEUもそうですが、全部自主的な申告なんです。申告をしてきた者には、課徴金でも制裁金でも罰金でも掛けないということで、日本で課徴金減免制度、英語でリーニエンシーと言っていますが、そのリーニエンシープログラムというものがあって、それでああいうことがなされている。

 日本も遅ればせながら平成十七年にそれを入れさせていただいた。したがって、国際的な企業は、従来は日本には話は持ち込んでこなかったんです。昔大きな事件で、ビタミン剤の、これは大変大きな事件で、ロシュという会社が一番大きな制裁金を食らいましたけれども、このときは日本には言ってこなかった。何となれば、日本はそのときに課徴金減免制度を持っていなかったから、言ってくるメリットがないものですから言ってこなかった。アメリカ、EU、韓国には言っていたと。今や日本も持っていますから、同じように情報が入ってくるということになっていますので、今度整備していただく情報交換の根拠規定もきちんと使えることになると思っております。

○中谷智司 

 海外の国との関係は、EUとアメリカは、個別事案の処理に係る協力にとどまらず双方の制度の調和や共通のルール作りにまで及んでいます。EUとアメリカのような緊密でバランスの取れた協力関係を日本も各国と是非とも築けるように取り組んでいただきたいと思います。

 今日は法律の中身のお話をずっとさせていただきましたけれども、公正な取引が行われるためには、法律の内容を変えるとともに、やはり私は運用も非常に大切だと思います。

 先ほど少しお話をさせていただきましたけれども、中小企業の経営者にとっては、まだまだこの法律はきちんと浸透をしていません。中小企業の経営者が法律を十分に認識、理解をして、そして、法律を遵守する立場、法律を活用する立場のそれぞれが本法律や海外の関係法律を理解することが大変重要だと思います。

 河村官房長官に、こういったことに対する政府の取組についてお伺いをいたします。

○河村建夫内閣官房長官

 独占禁止法は経済の基本ルールでありますから、中小企業の方々にこの独占禁止法とそれから関係法令を十分に認識して理解していただくということは極めて大事なことでございまして、まさに今大事なことを御指摘をいただいたと思っております。

 公正取引委員会では、例示といたしまして、平成十年度から、御理解をいただくために、商工会議所とそれから商工会の御協力をいただきまして独占禁止法相談ネットワークというものを運営しております。具体的には、全国の商工会議所等の中小企業者等に対する相談窓口において独占禁止法等の相談を受け付け、そして同時に公正取引委員会に取り次ぐ体制が整っております。

 また、商工会議所では実際に相談業務に従事する経営指導員がおられますが、こういう方々に対しても独占禁止法ガイド等の資料を配付して、また、経営指導員に対する研修会には講師を派遣する等々活動を行って、まさに中小企業の皆さん方がこの法律をしっかり理解をしていただいて、またこれを活用できる、必要に応じて活用できるその体制の整備にまさに取り組んでおるところでございます。

○中谷智司 

 今いろいろな取組についてお話をしてくださいました。しかし、私は、まだまだこれだけの取組では日本にある企業にきちんと伝わらないと思います。

 商工会議所やあるいは商工会、今までお使いになられていたようなルートを使うだけではなくて、是非とも、地域にはいろいろな窓口がありますので、そういうふうなところへの働きかけを、ホームページを見てくださいというそういうのではなくて、こちらからきちんと一つ一つの企業にお知らせをしていくような、そういうふうな活動をしていただきたいと思います。

 もちろん、公正取引委員会は、法律を作る、そして法律を施行する、あるいはそういうふうな地域での活動だとかいろいろな職務があって大変なお仕事だとは思いますけれども、是非ともこれが、日本経済において公正な取引をすることによって日本経済を良くするんだ、そういうふうな誇りを持ってお仕事をしていただきたい、そういうふうに思います。

 私の御質問はこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。


第171回国会(常会) 参議院経済産業委員会 2009年6月02日

○中谷智司 

 私は、ただいま可決されました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党、公明党及び改革クラブの各派並びに各派に属しない議員田中直紀君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。

 案文を朗読いたします。

    私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  最近の急激な経済情勢の変化に伴い、かつてなく中小企業者や下請事業者の利益が不当に害されるおそれが高まっていることにかんがみ、市場における公正な競争秩序を確保するため、政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 審判手続に係る規定については、本法附則において、全面にわたって見直すものとし、平成二十一年度中に行う検討の結果所要の措置を講ずることとされているが、検討の結果として、現行の審判制度を現状のまま存続することや、平成十七年改正以前の事前審判制度へ戻すことのないよう、審判制度の抜本的な制度変更を行うこと。

 二 公正取引委員会が行う審尋や任意の事情聴取等において、事業者側の十分な防御権の行使を可能とするため、諸外国の事例を参考にしつつ、代理人の選任・立会い・供述調書の写しの交付等について、我が国における刑事手続や他の行政手続との整合性を確保しつつ前向きに検討すること。

 三 不公正な取引方法に対しては、経済社会状況の変化や、本改正により課徴金の対象となる行為類型が優越的地位の濫用等に拡大することを踏まえ、ガイドラインの作成等によって、構成要件がより明確かつ具体的に示されるよう十分配慮しつつ、規制措置の積極的な運用を図ること。その際、下請関係を含め大企業者と中小企業者の間における公正な取引の確保及び中小企業者の利益保護に配慮すること。

 四 談合・カルテルに係る課徴金減免制度については、減額対象事業者数が拡大されることや、企業グループ内の事業者の共同申請制度が導入されることを踏まえ、違反行為の発見、事件の解明がこれまで以上に迅速かつ的確に行われるよう、公正取引委員会の調査・分析能力の向上に努めること。また、同制度の運用に当たっては、制度の悪用を許すことがないように適切な法執行に万全を期すること。

 五 企業の経済活動のグローバル化を踏まえ、競争政策や競争法の国際調和を図るとともに、各国の競争当局間の協力を一層進め、外国企業に係る企業結合や国際カルテル等に対する規制の実効性を高めること。

 六 公正取引委員会事務総局の人員体制の一層の強化を図り、法曹資格者や経済学の分野において高度な専門知識を有する者等の登用を積極的に進めるとともに、公正取引委員会と関係省庁との緊密な連携体制を確立し、きめ細かく実態の把握に努めつつ、不当廉売や優越的地位の濫用等の問題行為を迅速かつ効果的に取り締まること。

 七 不公正な取引方法の差止請求における文書提出命令の特則については、事業者及び国民にその趣旨及び内容の周知徹底を図るとともに、民事訴訟を通じた救済の促進に資するため、当事者の負担軽減に向けた方策の検討を継続すること。

   右決議する。

 以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

○櫻井充経済産業委員長

 ただいま中谷智司君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。

 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

○櫻井充経済産業委員長

 全会一致と認めます。よって、中谷智司君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。

 ただいまの決議に対し、河村内閣官房長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。河村内閣官房長官。

○河村建夫内閣官房長官

 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。

 ありがとうございました。

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